控訴審第9回公判官製談合華やかな背景があります07年4月26日(木)晴

雲形池

第9回控訴審は、新たな稗田雅洋、兒島光夫両裁判官の交代に伴う更新手続がおこなわれ、午前10時の開廷からまず池田修裁判長による松岡利勝、伴次雄、大橋俊彦の3証人の証言と被告人質問について約30分間要旨の告知が行なわれました。

ついで弘中弁護人より、今回の事件は無理をしてでも被告人を訴追したいという国策捜査の結果で、島田事件は同じ意図で作られた「最初に鈴木宗男ありき」の事件だと述べられました。 そしてこの島田事件については職務権限が無い事、島田建設が受注の請託をする動機が無い事、そして口利きをしてもらったとされる工事は総て受注していない事など受託収賄罪の全面否定の要旨の告知が約30分行なわれました。

前回から1ヶ月半くらいで雲形池の周囲は緑が生い茂りすっかり初夏の様相になってきました。お天気もよく昼休みを過ごしに来た人達で賑わっていました。

そして佐藤弁護人によるやまりん事件の要旨の告知が昼過ぎまで約1時間強おこなわれました。
やまりん事件は供述のみによって構成され、物的証拠は何もなく、一審では検察官も弁護人も数々の見落としをしていたと主張。検察官は鵜匠に操られる鵜だとか刺激的な言辞も多く、要旨というより主観的な色彩の濃い詳細の告知がなされました。鈴木被告はニヤニヤしながら「ようやるわい」というような表情を浮かべていましたが、胃を手術した人特有の生気の無い疲労感の表情にも変わりました。
12時近くなり、佐藤弁護人が「午後も引き続き」というと裁判長は真顔で「エッ午後もですか」と問い直しました。将に法廷全体がそんな気持のような気がしましたが、本人は大真面目で「午後は10分くらいで短く」というのをしぶしぶ了承して午前の部が終了しました。

午後は13時45分くらいから弘中弁護人による島田事件関係の、本来の被告人質問に戻りました。こちらも既に話された事の繰り返しが多いのは仕方のない事なのでしょうか。
でも「役人は最高上司が指示した事を変える事はない」「ノーと言える役人はそういない」「事後報告が何もないことは有り得ない」など鈴木被告の官僚を見下すような発言がしばしばあり、恫喝政治家と言われた人ならではの官僚観が如実に現れていました。

姫女苑

受注工事その他についての疑問点が次々に質問されましたが、典型的な受託収賄構造に照らせばその通りで、島田社長から託されたメモと実際の受注工事との間にはそれぞれ違いがあり、実際に請託はあったのだろうかとも思わせる点が多いようにも思えます。

でも、当時の北海道の建設・土木業界の状況を考えればその謎は解けます。建設・土木業界は4人の政治家を頂点として別れており、それぞれが官製談合をめぐって働きかけ、受注競争を繰り広げていました。その中では典型的なはっきりとそれと分かるような請託・受託の構図はできようハズはなく、かなり高度な官製談合が行なわれていたのは周知の事実です。
そのような環境下では官僚は要請された事については当たらずとも遠からず的な対処の仕方をせざるを得なく、その為の知恵を働かせていた事は明らかです。典型的な贈収賄の構図はどう考えても描けよう筈はありませんでした。

取敢えず予定通り15時に終了。次回については検察も被告人質問を用意しておいても可という弘中弁護人の言葉でしたが、どのくらいの時間をとれるかは約束できないとの事でした。
次回は5月24日(木)10時からとの予定が告げられて閉廷しました。