第5回公判は前回同様東京高裁718号法廷にて11月14日13時30分より開かれ、定刻には52の傍聴席がほぼ埋まっていた。
弁護側は弘中夫妻に佐藤弁護人で変わらず。検察官は前回の渡辺検察官と吉田検察官の2人だったが、一審の吉田検察官とは別人でこの日はまったく発言がなかった。裁判官は池田修裁判長以下変わらず。鈴木宗男は前回同様薄いグリーンのネクタイで相変わらず元気そうだった。
前回、今後の日程を10月23日に打ち合わせをする事で終わっていたが、裁判所の主張どおり今日は弘中弁護人による被告人質問が行なわれた。打ち合わせではやまりん関係の被告人質問を行なう事で合意されていたようだが、弁護人の質問は鈴木宗男の政治活動のアピールに終始した。
逮捕された後も、やましい事は一切していないので辞職せず職責を全うした。検察による恣意的な国策捜査に巻き込まれた。との従来通りの主張のもと、その後の政治活動について時系列的に質問が繰り返され、『鈴木宗男政治活動を語る』とのワンマンショー的法廷が繰り広げられた。
「家の中で雪が舞った」との生い立ちまでさかのぼったところで堪らず渡辺検察官から「前置きが長すぎる」との異議が出された。裁判長からも「裁判所も承知している明らかな被告人の政治活動は述べなくても」との言葉があった。しかしながらその後も相変わらずの被告人質問に、温厚な裁判長が強い口調で「同じ事は繰り返さないで下さい。」「質問主意書については裁判所も分かります。」といらだつ場面があった
しかし相変わらず鈴木宗男の政治活動の成果等が続けられ、田中真紀子との確執で、自分ひとりが悪者にされた事や、外務大臣としての失政をあげつらうに及び、再度検察官から「本件との関連がどんどん薄れている」との異議が出された。弁護人は「当時のマスコミ報道や社会全体の流れを見なければ本件真相は分からない」と反論。
裁判長は「一審の記録に基づいて関連が問われるものについては裁判所も納得できるが、弁護側以外は何処まで関連があるか分からない事柄について、このまま質問を続けていく事には耐えられない。」と諭した。「一審では事件のあった当時の経過は聞いていない」との反論がされたが、「控訴趣意書にはそれについて何処で触れているのか。」との裁判長の再度の問いかけには、弁護側は鳩首協議しつつも曖昧な返答しかできなかった。検察側も「細かい事には拘泥しない。証拠こそが総てであると趣意書に書いてある事と矛盾する」と異議を唱えた
裁判長は「控訴趣意書に具体的に出ていない事についてジッと聞いているという事は裁判所は受け入れられない。尋問の仕方についてこうやれとは言わないが、関連性のない事については聞いていられない。原裁判をチェックするのが控訴審で控訴趣意書に触れられていないことについては審議できない。」と宣告した。
ここでやっと弁護人から「総論より解き明かす形で組み立ててあるので一気に各論に入るには組み立て方を考えたいので休憩をお願いしたい。」との要請があり、14時55分より30分間の休憩がとられた。
再開後は政治献金について相手方や処理の仕方等具体的な質問で、検察の調べに対してチョット脱線的発言はあったものの、取敢えずはまともな被告人質問で終了した。
次回はやまりんについての質問との弁護人に、検察から島田建設もとの言葉があったが「それは無理」とにべもなかった。
次回は12月14日(木)13時30分よりと告げられ、16時25分閉廷。