控訴審第3回公判 田舎芝居の役者の如き弁護人 06年9月14日(木)雨後曇

雲形池

控訴審第3回公判は9月14日(金)13時30分より東京高裁718号法廷で開かれた。
この日は一審を通じて初めて整理券が交付されず法廷入口での所持品検査も無く自由に傍聴できた。当然警備員もいないので物々しさが無く、親しみやすい感じだった。
 鈴木宗男はトレードマークの黄色いネクタイではなく若草色のネクタイで、相変わらず日焼けして元気そうだった。もっとも弁護人が同じような質問を繰り返した後半には別人のような疲れきった表情に変わっていた。

今日の証人は一審の第2、第3回公判証人の伴次雄林野庁次長だった。
佐藤弁護人の質問は当初は鈴木以外の国会議員からの働きかけは無かったのかを中心に、松岡利勝議員のかかわり方と彼から不正な働きかけが無かったかを質していた。それは松岡主犯説を導き出そうとしているように感じたが、ナカナカ思惑通りには進まなかった。

鈴木宗男からの林野庁に対する働きかけとされている件は

  1. 平成10年8月4日の「やまりんが明日林野庁を訪ねるので宜しく頼む」との電話の件
  2. 翌5日やまりんの会長が伴次長に面会した後の電話で「かなりきつい事を言ったようだな」との電話の件
  3. そして、7日の面会時の12分の4案に対する「たった4ヶ月なのか。全量回復できないのか」との発言の件
上記3点で、それぞれについて改めて細かい質問がなされた。

それが次第に12分の4案のみに質問が集中し、約2時間この件の作成経緯、それぞれの関わり方、 国会議員への報告の日時等細かい事をひっくり返しとっくり返し、伴次長には直接関係のない事まで尋ねていた。
この間、佐藤弁護人はここぞと思う質問をぶつけた時には、傍聴席に向って見得を切るような仕草を再三していたのはどうゆう事なのだろうか。 そして、同じことの繰り返しは次第に単なる言葉尻を捕らえる質問になっていった。

終盤、一審の終わり頃弁護側から出され、検察側が証拠としての認定を危ぶんだ文書に基づく質問に検察側の異議が申し立てられると、
弁護人席から証人席の前まで出て「これは弾劾証拠だ」と大声を上げた。
そして当時の証人のスケジュール表は6日の欄が夏季休暇になっていて、この日に7日のアポイントを取ったと証言しているのはまったくの虚偽で、証言は総て信じられないと決め付けた。

しかし、この夏季休暇記載は一審でも問題にされ、夏季休暇取得奨励の為、役職者が率先してスケジュールを記入したもので実際には仕事があれば出勤していた。
この日は間違いなく出勤していた、との確認がなされていた。
控訴審の弁護人が一審の記録も確かめず、解決済みの件を鬼の首を取ったかのような大声で偽証の明白な証拠と断じたのはいかにもお粗末だった。

しかしながら独特の雰囲気がある法廷で、あのような語調で畳み掛けられたら並の人間なら混乱して彼の術中に嵌りかねなかったと思うが、さすが林野庁長官まで上り詰めた人物終始冷静に対処していた。
その後、他の弁護人、検察官の短い質問があって長い証言を終わった時、裁判官には言うに及ばず検察官にも鈴木宗男にも深々と頭を下げて退廷した。

最後に裁判長が次回証人について弁護側に質したが、前回より2ヶ月の期間があったにも拘らずまたしても確定できておらず、後ほど連絡するとの答えだった。
次回は10月17日(火)13時30分より、取敢えず検察側からの大橋証人との事で16時45分閉廷した。

それにしても裁判長より第一回公判時に今後のスケジュールを出して欲しいとの要請を受けた弁護側が、未だ次回の証人すら決められないのはいかにもお粗末。
今日の法廷の田舎芝居さながらを思うと弁護人を替えたのは如何かと思うが、なりふり構わず突撃する「撃ちてしやまん」は鈴木宗男の好みなのだろう。

※刑訴法328条は、伝聞法則を適用すれば証拠とすることができない伝聞証拠であっても、公判廷における供述者の不一致供述(自己矛盾の供述)には弾劾証拠として使用することは許されるとする。