雲形池

鈴木宗男控訴審第2回公判は7月13日13時30分より東京高裁102号法廷で行われた。
今回も抽選との事だったが、定員95名に対し傍聴希望者は45名で前回に引き続き無抽選となった。
松岡利勝代議士が証人で多数を予想したのだろうが、同時に行われた厚木騒音訴訟の混雑振りに比べると寂しい人数だった。

先に入廷していた鈴木被告は傍聴者の入廷を一人ひとり確認するかのように眺めていた。
証人が呼ばれ宣誓後、すぐに弁護人による松岡利勝代議士の詳細な経歴の紹介と確認がなされた。その冒頭松岡議員は証人、鈴木議員は鈴木議員と呼ばせていただきますとの常套句ながら内容的にはオカシナ断りがあった。

松岡証人は経歴紹介での2〜3の間違いを指摘した後、林野庁出身の国会議員として農林水産業のエキスパートになりたい思いで活動してきた事を語り、鈴木議員との関係は政治家として先輩であり、色々な面でご指導を頂いて必要に応じてお付き合いをさせて頂いていたと述べた。

佐藤弁護人は鈴木から陣中見舞いや活動資金としてまとまった金を渡されていた事、やまりんからの政治資金提供(月額2〜3万円)も鈴木の口利きでなされた事を確認。その上で敢えて平成10年7月末以前には、やまりんから松岡にはまとまった金額は提供されていない事を確認した。
その後、やまりんの子会社の社長だった赤堀とは大学の同窓だった事や、やまりんとの交際の深さについてかなり親密だったのではないかとの質問もされた。

これらに関してはいずれも知り合い程度で深い交際はなかった。やまりん事件は当時鈴木と同じ選挙区出身の北村直人議員が「国有林野小委員会」で持ち出した事で、鈴木には表立って張り合わない方がいいとは言ったが、自分に任せろとは言ってはいない。
子会社の落札問題は島村農相が問題化したもので役所の内部的問題で、口を出すべきものでは無く、両件とも政治家同士の確執だった。やまりんの資格停止処分についての経緯は一切知らないと証言した。
そして「林野庁に働きかけて欲しいと鈴木に頼まれた事も、やまりんから依頼された事も無い」とハッキリした口調で否定した。

問題の平成10年8月にやまりんが上京して鈴木被告を訪ねた後、松岡証人の事務所を訪れた件も「会長、社長、赤堀の3人と4〜5分会っただけで、盗伐をめぐる話は無く、林野庁へ宜しくとりなして欲しいとも言われていない。200万円は留任祝いとしてもらった政治資金だった。」と証言した。
その後、林野庁が作成したらしい「帯広案件について」という文書を提示して、松岡が口ききしていたのではとの質問を繰り返していたが正直私にはよく分からなかった。

弁護人の多くの質問が検察の調書を元にしてなされた。松岡証人の「よく覚えていないので調書にそう書いてあるのなら、そうでしょう」という言葉が多くなり、「調書を見せて欲しいといっても開示してくれなかった」との言葉も飛び出した。
そして具体的な事情聴取の件に及び、14年7月と15年2月の日時や検察官の名前まで問い質し、2回目の事情聴取の途中からは参考人ではなく被疑者の取調べに切り替わったのではないかとも質していた。

約2時間余りの佐藤弁護人の質問は弁護側の証人に対する質問のはずなのにその雰囲気はまるで無かった。何か相手方の証人に対するようで、もっとありていに言えば証人ではなく被告人に対する検察官の被告人質問みたいな様相だった。
15時55分に審理は終わり、証人が退廷して次回以降のスケジュールの話になったが、弁護側は次回の証人も確定できず前回同様日時だけが確認されて閉廷した。

一審では、対立関係にあった政治家がらみの事件なので、直接的には関与せず松岡に任せていたとの主張だったが、それが肯定されなかったので松岡犯人説の報復的な措置に出たのだろうか。真実は不明だが今日の法廷を見る限りではそう推測されても仕方が無いような弁護人の質問内容と口調だった。