
08年の2・26は晴れてはいたが風は強く、天気予報は午後からは冷たい北風に変わり夕方には雨の予報だったが、天候の移り変わりは以外に遅く雨になったのは夜遅くだった。
第15回公判は久し振りの抽選で、9時40分までに第3待合所に集合だった。定刻までの希望者は57名で予定より若干多かったようだが、無抽選で全員が傍聴できた。
102号法廷は控訴審の最初の頃と同様に弁護側が向って左、検察側は右側で水野谷検察官一人だった。定刻10時の少し前に裁判官の入廷があり、2分間のビディオ撮影後、紺の背広に新党大地のシンボルカラー若草色のネクタイの鈴木宗男が入廷した。

池田修裁判長は被告に「座ったままその席で」と言った後、「本件控訴を棄却する」との判決を告げた。
法令適用の誤り、事実誤認等原判決に誤りはない。との補足の後、島田事件、やまりん事件、政治資金規正法違反、議院証言法違反それぞれについて要旨の説明があった。
そして何より、工事メモ、業績の推移等、大橋証言、後藤証言の信用性もあり、有りもしない事件を作る合理性は無いと退けた。
やまりん事件については松岡議員が一切関わっていないというのは誤りだが、鈴木被告が主体的に動いたのは間違いなく、現金も500万円だった。控訴審で出された一審とは異なる哲社長の供述書は、その曖昧さは原審の公判でも裏付けられ信用できない。一方で伴証言は信用できると述べられた。
政治資金規正法違反については1億円ものお金の処理を被告に相談もせず秘書単独でするとは考えられない。また住宅購入資金の一部だった3600万円については受け取る時には何も言わず、後で貸してあったお金だと言うのは将にとってつけた理屈で納得性がない。
議院証言法違反についても一審の事実誤認、法令の適用誤りは無いとし、弁護側が当時の鈴木宗男バッシングの雰囲気が如実に感じられるとして法廷で映写したビディオが、裁判所には明快な質問として受け取られ、誤認の余地は無いとされた。
表題はやまりん事件の最終弁論で弁護側から「検察官の権力犯罪だ。無罪判決ではなく公訴棄却の判決を下すべきだ」と主張された事による。担当の佐藤弁護人は公判廷でも「検察官は鵜飼の鵜だ」など過激な発言が目立っていた。
上告理由は刑事訴訟法405条に判決に憲法の違反または解釈の誤りがあること、最高裁の判例に反する事、大審院の判例に反する事など控訴理由と比べ限定されている。
このため上告がこれらの理由にあたらない場合は比較的早めに上告棄却の決定が出されるようだ。友人の弁護士の話では政治的配慮がされれば少し期間があるだろうねとの事だった。