第36回公判(判決)

ポリティッシャンなれどもステーツマンにはあらず

平成16年11月5日(金)晴
雲形池
判決が言い渡される第36回公判は久しぶりの抽選だった。9時頃には既に100名くらいの傍聴希望者が集まっていた。中年婦人のグループもあり、若干違和感があったがワイドショーの傍聴券取りのようだった。9時20分、最終152人の希望者に対し57名の傍聴券交付との発表があった。パソコン抽選の結果幸いにも傍聴券を手にする事ができた。
晴天の日比谷公園雲形池 04年11月5日
9時40分頃日比谷公園側の入口より鈴木宗男が弁護団を従えて登場した。小柄だがさすが官房副長官まで勤めた政治家で背筋が伸び、カメラの放列に笑みを浮かべながら足早に合同庁舎に入っていった。

定刻10時開廷。すぐに八木正一裁判長が鈴木被告に「前に出てください」と証人席に立たせて、判決の言い渡しがあった。懲役2年、追徴金1100万円。未決勾留日数220日を刑に参入する。との主文の朗読の後、報道席は連絡役の記者が退出する音でざわめいた。しかしそれも一瞬で鈴木被告も被告席に戻った。

その後判決理由として受託収賄の島田事件については600万円の受け取り月日、請託の状況が明確。あっせん収賄のやまりん事件では林野庁次長に対しての斡旋と知悉しながら承諾し、斡旋の報酬としての500万円を多田と共謀して受け取った。政治資金規正法違反については21世紀政策研究会への1億円の寄付を報告書に記載せず、個人的支出の3600万円を記載していなかった事も明らか。議院証言法違反でも島田建設の800万円の贈与が無かったと偽証、モザンビークの医療援助隊を中止に追い込んだ事も明白と4罪について起訴全ての事柄につき有罪とした。そして詳細の注釈を加えた八木裁判長の判決文朗読は約2時間半に及んだ。
その間鈴木宗男は、日焼けしている顔を高潮させ、なにやらしきりにメモを取ったり、時折裁判長の顔を見つめたりしていた。
シコンノボタン

刑については刑法197条に基ずき懲役2年、1100万円の追徴金を課したと述べられた。

最終「政治の要職にあり高度の倫理性と廉潔性を求められながら、このような事件を起こした事には厳しい非難を受けて当然で、捜査段階から法廷においても不合理な弁解に終始し、不利益な証言を した元支援者を誹謗するかの言辞を弄し、反省の色は皆無で刑の執行を猶予する余地は無い。」と申し渡した。
判決は起訴された4罪について総て有罪だったが、事実認定の補足説明もきわめて説得力があり、なにより常識的だった。

最終弁論で大室主任弁護人が述べたようにマスコミの過熱報道の社会的背景の中で、鈴木宗男逮捕に向けて捜査が展開されたのは事実だろう。この側面からは確かに国策捜査に他ならない。でも、だからと言ってイコール無罪ではありえない。
 これまで29回の公判傍聴を通して、鈴木宗男の品性とか品格については多くの疑問を抱かざるを得なかった。彼はポリティッシャンであっても間違いなくステイツマンではなかった。「ストップ・ザ鈴木宗男」これはやはり日本政治にとって必然だったように思う。

保釈されてからの記者会見で「正直にありのままを述べただけなのに否認してけしからんと言うようでは何のための法廷か」と不満をぶつけた」(読売新聞11月6日朝刊)との事だった。

刑法第21条 未決勾留の日数は、その全部又は一部を本刑に算入することができる⇒437日の勾留日数の半分を算入
刑法第197条の5 犯人または情を知った第3者が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。