起訴事実4件につき検察側と弁護側の主張を併記

あっせん収賄ーやまりん事件ー

検察側主張

盗伐事件で資格停止処分を受けた製材会社「やまりん」が処分明け後、その期間を含めた1年分の契約が取れるよう鈴木被告にあっせんを依頼。官房副長官就任間もない事から就任祝い名目で500万円を持参。林野庁幹部に働きかけを依頼し、被告も引き受けた。500万円の内100万円は領収書不要と伝えた。

弁護側主張

不正を依頼された事がなく、従って働きかけた事実もない。やまりんは官房副長官就任祝いに上京してきた。受領した金額は400万円のみで就任祝い金なので、無罪。
あっせん収賄罪:
請託を受けて他の公務員に職務上の不正行為を働きかけて賄賂(わいろ)を受け取ること。その特徴は、公務員本人に職務権限がない場合でも、請託を受け、ほかの公務員に職務上不正な行為をさせることなどの報酬として、賄賂を受け取った場合に成立する。5年以下の懲役(刑法197条の4)

受託収賄ー島田建設事件ー

検察側主張

網走の港湾業者「島田建設」から北海道開発局の98年度発注予定の港湾工事を受注できるよう港湾部長への働きかけを依頼された。その見返りとして4度にわたり計600万円の賄賂を収受した。

弁護側主張

工事が受注できるよう依頼された事実もなく、働きかけた事もない。そしてまた小遣いと称する金銭の授受も一切無いので当然、無罪。
受託収賄罪:
公務員又は仲裁人が、その職務に関し、賄賂(わいろ)を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託(せいたく)を受けたときは、7年以下の懲役に処す(刑法197条)

ー議院証言法違反事件ー

検察側主張

衆議院予算委員会で、島田建設から現金800万円を受領しながら政治献金は無かったと述べた件、私設秘書給与の業者による肩代わりを否定した件、モザンビークへの医療チーム派遣に反対した件等の3件につき偽証。

弁護側主張

被告人が質問をどのように理解し得たのかという観点、そしてその経緯も踏まえて偽証か否かを論じるべきである。この観点からは被告人の証言に偽証の事実は無く、無罪。
議院証言法違反:
証人喚問は、議院証言法(議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律)にもとづき、国会の委員会で開かれ、証人はまず「真実」を述べる旨の宣誓をする。証人の証言がウソであった場合、偽証罪で告発されることがあり、第6条に定められた刑は3ヶ月以上10年以下の懲役

ー政治資金規正法違反事件ー

検察側主張

構造改革研究会から21世紀政策研究会に対する1億円を超える寄付金収入を収支報告書に記載せず裏金とした件、自宅購入資金の一部の3600万円を21世紀政策研究会から支出した件、それらを98年分の収支報告書に記載しないよう、虚偽記載を指示した。

弁護側主張

前者については被告人の関知せざるところであり、寄付に当たるのかどうかについても疑問。後者については立て替え金を返金してもらったものであり、両件とも無罪。
政治資金規正法:
政治資金規正法は政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発展に寄与する事を目的として制定された。収支報告書の不記載、虚偽記載の罰則は5年以下の禁錮、100万円以下の罰金(第25条)